緑地管理の作業内容を見直す
先日シェアした、『「スキル」と「センス」は何が違う?起業戦略の専門家が語る、優れた経営者の共通点』という記事の、飛行機の機内食の事例を読んでいて、思い出したことがあったので、書き留めておこうと思います。
弊社は、「環境に悪影響を与えるような化学農薬を極力使用しない」というコンセプトで、緑地管理の仕事などを行っていますが、数年前から、わりと大きなマンションなどの緑地管理の仕事もするようになってきました。
ここで問題になるのが、病害虫の発生や、それに対する薬剤散布の問題です。
住民の方(管理組合など)から、直接ご依頼いただいている場合は問題ないのですが、こういう案件の場合、マンション管理会社やそれに付随する造園会社からの「下請け」という立場になることもあり、そうなると、大変。
こういう案件の場合、基本的に年間のスケジュールが決まっています。落葉樹の剪定が12月とか、低木の刈込が7月とか、そして、薬剤散布は5・7・9月など・・・
一つ目の問題は、作業項目に「薬剤散布」と書いてあるならまだしも、「消毒」と書いてある場合もあるということ。
私: この「消毒」って、どの樹種に対する消毒ですか?
担当者: いや、特にどの木っていうわけではなく、いつも全体的にやってますけど・・・
私: 何か病気が発生しやすいんでしょうか?
担当者: これといって別に。いつもそうしていますので。
一般的に、殺菌剤(病気の菌を殺すもの)を使用する場合は「消毒」というはずなので、では、害虫が出た場合の対応はどうなっているんだ??とか、
病気も何も発生していないのに、「消毒」って何に対して??空気を消毒するんかい??とか・・・色々言いたくなるが、ぐっとこらえる。
二つ目の問題は、作業月が決まってしまっていること。
私: この、「薬剤散布」5・7・9月となっていますが、もし、害虫が発生していなかったら、その月の薬剤散布は止めて、他の月で害虫が発生していた時の作業費にまわしても良いでしょうか?
担当者: いや、それは困ります。
私: 何故でしょうか?
担当者: 毎年、こういうことに決まっていますので。
病害虫の発生月は、毎年の気候によって変わります。特に、近年の異常気象によって、「例年通り」ということがさっぱり言うことのできない今日この頃です。
私: あの、殺虫剤って、例えば何を使われていますか?
担当者: 「ス○チ○ン」とか・・・
私: あれは、その虫に直接かかれば効果がありますけど、いないときに散布しても、予防的な効果は無いと思うんですけど・・・ホントに害虫がいなくても散布しているんですか?
担当者: いや、まあ、そうなんだけど。。。(汗)
環境省が『公園・街路樹等 害虫・雑草管理マニュアル ~農薬飛散によるリスク軽減に向けて~』というものを発行しておりまして、(緑に関する仕事をされている方は、是非、読んでださいね。)
この中でも、「公園、街路樹等における病害虫防除に当たっての遵守事項」のなかで、「病害虫の発生や被害の有無にかかわらず定期的に農薬を散布することをやめ、日常的な観測によって病害虫被害や雑草の発生を早期に発見し、被害を受けた部分のせん定や捕殺、機械除草等の物理的防除により対応するよう最大限努めること。」と。要するに、「スケジュールを達成するための目的で、意味も無く農薬を散布しちゃダメよ」と書かれているわけです。
こういうことがわざわざ書いてあるということは、「害虫は出ていないけど、今度、また作業しに来るのも面倒だし、終わらせないと請求書出せないし・・・」みたいな理由で、化学農薬を散布している現場が多いということの表れでもあると思います。
私: 少なくとも、病気や害虫が無いときに、殺菌剤や殺虫剤を散布する必要は無いと思うんですよ。病害虫がいるときには化学農薬を散布するとしても、いないときにどうしても散布しなければいけないということであれば、活力剤か何かを散布してあげた方が、サービスになるのではないでしょうか?
担当者: 確かにそうですけど・・・ (そんなこと考えたこともなかった。)
私: (笑顔で)じゃあ、そうすることにしましょう。
基本的に、「下請け」の会社は、親会社に対しては意見は言わないらしいので、かなり面食らっている様子の担当者さん。この辺りで、だんだん疲れてくるのですが、もうちょっと頑張らないといけません。
三つめは、使用する薬剤の問題。
私: 弊社は、「環境に極力影響を与えない」ということでやっていますので、有機リン酸系の農薬などは、基本的に使わないのですが。植物用の生薬とか、有機JAS認定でOKになっている農薬などを使用しますけれども、それで良いですよね?
担当者: そういう薬剤にすることによって、害虫が大発生したりしたら、どうなるんでしょう?
「どうなるんでしょう?」って、もちろん、ウチに依頼している御社の責任になるんでしょう。嫌だったら依頼しなければいいだけのことじゃん。と思うが、ぐっとこらえる。
私: (笑顔で) これまで、10年以上このスタイルでやってきていますが、この方法に切り替えて1~2年くらいは、ちょっと不安定な時期もあるかもしれませんが、それ以降は、植物に抵抗力がついてきますので、逆に病害虫の発生も減ってきますよ。これまで、クレームになったこともないですし。
担当者: 最初の1~2年は、どんな感じなんでしょう?
そんなに変わらないし、落ち着いて考えれば、変わるわけがないと思うんです。害虫が発生していないときに農薬を散布して、例えば翌月に害虫が発生していても、「今月はその作業は項目に無いので」ということで薬剤散布をしなかったりするわけですから。
「私だったらむしろ、ムダに化学農薬を散布される方に対してクレームを言うが。」と思うが、これもぐっとこらえる。
私: (笑顔で) 何か問題があれば、何回でもすぐに行きますよ!
担当者: そ、それなら大丈夫かな・・・ (それでも不安。でも、この人に頼むしかなさそうだし・・・と、顔に書いてある。)
私: では、そういうことで!よろしくお願いします!
こんな、ヒリヒリとしたやりとりの末にお仕事をいただいて、最初の1~2年くらいは疑いの目で見られていたり、その間のエピソードもいろいろありますが、それは、またの機会に。
結論から言うと、化学農薬をやめたことで、1年目から病害虫の発生などに関してクレームになった案件は、今のところ、一度も無いということで。
めでたしめでたし。
弊社は、「環境に悪影響を与えるような化学農薬を極力使用しない」というコンセプトで、緑地管理の仕事などを行っていますが、数年前から、わりと大きなマンションなどの緑地管理の仕事もするようになってきました。
ここで問題になるのが、病害虫の発生や、それに対する薬剤散布の問題です。
住民の方(管理組合など)から、直接ご依頼いただいている場合は問題ないのですが、こういう案件の場合、マンション管理会社やそれに付随する造園会社からの「下請け」という立場になることもあり、そうなると、大変。
こういう案件の場合、基本的に年間のスケジュールが決まっています。落葉樹の剪定が12月とか、低木の刈込が7月とか、そして、薬剤散布は5・7・9月など・・・
一つ目の問題は、作業項目に「薬剤散布」と書いてあるならまだしも、「消毒」と書いてある場合もあるということ。
私: この「消毒」って、どの樹種に対する消毒ですか?
担当者: いや、特にどの木っていうわけではなく、いつも全体的にやってますけど・・・
私: 何か病気が発生しやすいんでしょうか?
担当者: これといって別に。いつもそうしていますので。
一般的に、殺菌剤(病気の菌を殺すもの)を使用する場合は「消毒」というはずなので、では、害虫が出た場合の対応はどうなっているんだ??とか、
病気も何も発生していないのに、「消毒」って何に対して??空気を消毒するんかい??とか・・・色々言いたくなるが、ぐっとこらえる。
二つ目の問題は、作業月が決まってしまっていること。
私: この、「薬剤散布」5・7・9月となっていますが、もし、害虫が発生していなかったら、その月の薬剤散布は止めて、他の月で害虫が発生していた時の作業費にまわしても良いでしょうか?
担当者: いや、それは困ります。
私: 何故でしょうか?
担当者: 毎年、こういうことに決まっていますので。
病害虫の発生月は、毎年の気候によって変わります。特に、近年の異常気象によって、「例年通り」ということがさっぱり言うことのできない今日この頃です。
私: あの、殺虫剤って、例えば何を使われていますか?
担当者: 「ス○チ○ン」とか・・・
私: あれは、その虫に直接かかれば効果がありますけど、いないときに散布しても、予防的な効果は無いと思うんですけど・・・ホントに害虫がいなくても散布しているんですか?
担当者: いや、まあ、そうなんだけど。。。(汗)
環境省が『公園・街路樹等 害虫・雑草管理マニュアル ~農薬飛散によるリスク軽減に向けて~』というものを発行しておりまして、(緑に関する仕事をされている方は、是非、読んでださいね。)
この中でも、「公園、街路樹等における病害虫防除に当たっての遵守事項」のなかで、「病害虫の発生や被害の有無にかかわらず定期的に農薬を散布することをやめ、日常的な観測によって病害虫被害や雑草の発生を早期に発見し、被害を受けた部分のせん定や捕殺、機械除草等の物理的防除により対応するよう最大限努めること。」と。要するに、「スケジュールを達成するための目的で、意味も無く農薬を散布しちゃダメよ」と書かれているわけです。
こういうことがわざわざ書いてあるということは、「害虫は出ていないけど、今度、また作業しに来るのも面倒だし、終わらせないと請求書出せないし・・・」みたいな理由で、化学農薬を散布している現場が多いということの表れでもあると思います。
私: 少なくとも、病気や害虫が無いときに、殺菌剤や殺虫剤を散布する必要は無いと思うんですよ。病害虫がいるときには化学農薬を散布するとしても、いないときにどうしても散布しなければいけないということであれば、活力剤か何かを散布してあげた方が、サービスになるのではないでしょうか?
担当者: 確かにそうですけど・・・ (そんなこと考えたこともなかった。)
私: (笑顔で)じゃあ、そうすることにしましょう。
基本的に、「下請け」の会社は、親会社に対しては意見は言わないらしいので、かなり面食らっている様子の担当者さん。この辺りで、だんだん疲れてくるのですが、もうちょっと頑張らないといけません。
三つめは、使用する薬剤の問題。
私: 弊社は、「環境に極力影響を与えない」ということでやっていますので、有機リン酸系の農薬などは、基本的に使わないのですが。植物用の生薬とか、有機JAS認定でOKになっている農薬などを使用しますけれども、それで良いですよね?
担当者: そういう薬剤にすることによって、害虫が大発生したりしたら、どうなるんでしょう?
「どうなるんでしょう?」って、もちろん、ウチに依頼している御社の責任になるんでしょう。嫌だったら依頼しなければいいだけのことじゃん。と思うが、ぐっとこらえる。
私: (笑顔で) これまで、10年以上このスタイルでやってきていますが、この方法に切り替えて1~2年くらいは、ちょっと不安定な時期もあるかもしれませんが、それ以降は、植物に抵抗力がついてきますので、逆に病害虫の発生も減ってきますよ。これまで、クレームになったこともないですし。
担当者: 最初の1~2年は、どんな感じなんでしょう?
そんなに変わらないし、落ち着いて考えれば、変わるわけがないと思うんです。害虫が発生していないときに農薬を散布して、例えば翌月に害虫が発生していても、「今月はその作業は項目に無いので」ということで薬剤散布をしなかったりするわけですから。
「私だったらむしろ、ムダに化学農薬を散布される方に対してクレームを言うが。」と思うが、これもぐっとこらえる。
私: (笑顔で) 何か問題があれば、何回でもすぐに行きますよ!
担当者: そ、それなら大丈夫かな・・・ (それでも不安。でも、この人に頼むしかなさそうだし・・・と、顔に書いてある。)
私: では、そういうことで!よろしくお願いします!
こんな、ヒリヒリとしたやりとりの末にお仕事をいただいて、最初の1~2年くらいは疑いの目で見られていたり、その間のエピソードもいろいろありますが、それは、またの機会に。
結論から言うと、化学農薬をやめたことで、1年目から病害虫の発生などに関してクレームになった案件は、今のところ、一度も無いということで。
めでたしめでたし。