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「中間技術?」な庭。

「Q-GARDENの庭は、植物が主役です」ですから、構造物に使用する材料も、なるべく自然に近い素材を使用しています。例えば、壁面は、合成塗料の吹き付けよりも漆喰、コンクリートブロックよりもレンガ、アルミフェンスよりも鉄のフェンスといった具合に。なぜなら、植物は年々生長し、表情を変えていくのに、いつまでもツルツル・ピカピカした素材を使用してしまうと、空間のバランスが、だんだん悪くなってきてしまうから。もちろん、予算の都合やお客様の考えによって、アルミのフェンスやコンクリートブロックを使用することもあります。しかし、出来る限り、先のコンセプトを守って仕事をしていきたい。そう、考えています。

そうすると、実はとても効率が悪いんですよね。

まず、設計の段階で、CADソフトが使いづらい。最近の外構工事用のCADソフトには、LIXILや三協立山アルミなどの主な資材メーカーのデータがすべて組みこまれていて、「作業効率があがる」ということで、とても人気があります。例えば、「この部分にはこのメーカーのこの品番」という風に当てはめると、柱のピッチなどを自動で計算してくれて、平面・立面・3Dを同時に作成してくれるようになっています。しかし、Q-GARDENでは、まずこれが使えない。というか、そもそも弊社にとって、それは無駄な機能なので使いたくない。そうすると、もし、同じアルミフェンスを使用したい場合には、カタログの説明書を読んで、柱のピッチや必要な間隔などを計算して、当てはめていくことになります。

ここで必要な手間は

お客様との打合せ(カタログを見て、ある程度商品を確定する) → 設計(自動計算ではなく手計算に近いもの) → 見積作成 → お客様との打合せ

イメージと予算が一致するまで、この作業の繰り返し。
既成のCADソフトを利用するよりも、手計算の部分に時間がかかります。

では、さらに、オリジナルのロートアイアンのフェンスを作成する場合はどうするのかというと、お客様と現場で打合せをして、イメージする雰囲気や必要な高さなどを整理したあと、事務所にもどって具体的なデザインを検討していきます。ある程度デザイン案が固まったら、今度は、製作してくれる鍛造職人さんのところに行って、バーの太さやピッチ、装飾の入れ方など、より細かい部分を相談して、詳細図や見積を出してもらいます。その見積とデザイン案をもってお客様のところへ打合せに行き、そこで、確認をとったり、内容によっては新たな提案を出す必要が出てきたりします。

ここで必要な手間は

お客様との打合せ(ある程度のイメージをすり合わせる) → フェンスのデザイン → 鍛造職人さんとの打合せ → 詳細図・見積の提出 → 設計図に落とし込む → 見積作成 → お客様との打合せ


と、上記の場合に比べて、アクションが2つ増えているだけでなく、思索の時間や打合せの時間も増えていきます。

設計段階で、これだけ手間が余分にかかっていくわけですが、施工の段階においても、それぞれの段階で、同様なことが起こっていくわけです。

通常の造園会社はどういう風に考えているかというと、なるべく既製品を用いて、打合せと設計・施工にかかる時間を短縮し、受注から売り上げまでの時間を短くする。つまり、お客様の回転を良くしていくことに集中していく。もちろん、普通の経営者の脳みそを持っている人なら、当然、そうするでしょう。しかし、私はどうしても、そちらの方向には行きたくなかったし、これからも行きたくない。そういう中で、企業として利益を上げていくにはどういう風にしていけば良いのか?そんなことをずっと考えています。

『美術手帖』の 2015年1月号の特集は、「建てない建築家とつなぎ直す未来」でした。これを読んだことをきっかけに読んだ『風景資本論』(廣瀬俊介 著) と、『2025年の建築「新しいシゴト」』 という2冊の本に、その道すじみたいなものを感じることができました。

『風景資本論』で、著者はこんなことを書いています。
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経済学者シューマッハーは、人間の経済を自然の物質循環系の中に置く一つの方法として「中間技術(intermediate technology)」を挙げた。これは、労働力節約を目指した高額の設備投資によって企業は経営を難しくし、社会は労働力の余剰を生んで失業者を増やしてしまうこととは反対の、技術の応用のあり方を指す。
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そうか!私のつくりたい庭は、中間技術の集まりだった!もちろん、ヨーロッパではそういう庭が普通につくられていて、それを目指していたりしたわけですが。

どういうことかというと、この本では、護岸工事を例に書かれているのですが、たとえば、河川の護岸をコンクリートで施工すると、現状ではほぼメンテナンスフリーなので、労働力は施工のときにしか必要とされず、「重機の動線を確保するために施工範囲の外の地形を壊す場合があり、化石燃料費と二酸化炭素排出の量は増える。また、コンクリート護岸はその単調な形と時間経過に伴う汚損から周囲の風景に馴染ま」ない。

一方、石積みや粗朶などで施工する場合は、「人手は施工にも補修等の管理にもより多く要る。短期的に見れば不経済とされようが、雇用機会は増やせる。」・「護岸の姿は時間と共に周囲に馴染み、石積みや木を編んだ柵のすき間に生物が生息できて生物多様性が保て、すき間から水がよく吐け、石が崩れれば積めば済み、木は朽ちれば土に還る。朽ちた資材の替わりは手入れされた雑木林から得られる。生物多様性保全、治山、治水、低炭素社会実現のための植物体への二酸化炭素の固定、居住環境の質の向上、雇用機会増等は、それぞれを関係づけてみるとこれらの個々の実現の必要性を否定する人は少なくなると思う。」

そうそう、こういう庭をつくりたいんですよ!
時間と共に周囲に馴染み、生物多様性が増し、里山の手入れにもつながっていくような庭。
それを、現実的にビジネスとしても成立させられるような気がしてきた!という話でした。

Q-GARDENの庭の、施工の際に手間がかかる話と、『2025年の建築「新しいシゴト」』の話は、またの機会に。

風景資本論風景資本論
(2011/11/01)
廣瀬 俊介

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美術手帖 2015年 01月号美術手帖 2015年 01月号
(2014/12/17)
美術手帖編集部

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小島 理恵

Author:小島 理恵
GARDENER Q-GARDEN代表取締役
All About 「家庭菜園」ガイド
町田ひろ子インテリアアコーディネーターアカデミー 講師

庭のプランニング・施工・ケアまで一貫して手がけている。四季を通じて植物を楽しむことができるオーガニックな空間づくりが特徴。

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