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植栽がその土地になじむまでには5~7年以上を想定しておく。

わずかな休日を利用して、『造園植栽技術』という本を読んでいる。たまには、造園の基本も勉強し直しておかないといけない。

この本の帯に「この書は、既往のものと全く違う。」という涌井史郎先生の言葉が書かれているが、本当にそのとおりで、私自身がこれまでの造園業に対して違和感を覚えていた部分、そして、「本来はこうあるべきなんじゃないか?」と思いつつも、うまく言葉に表せなかったことが、きっぱりとわかりやすく解説されている。そういう意味で、改めて勉強と言いつつも、「そうそう!」と同意しながら読み進むことができて、とても気持ちが良い。

その中で、今日、皆さんに知ってほしいなと思った部分をひとつ。

私はこれまで、お客様や生徒さんたちに、「3年後の光景を想像して植栽計画を立てています(立てるべきだ)。」と言っていたのだが、これは、私の経験と感覚からなんとなく思っていたことなので、その明確な理由などを説明することができず、それが理由で、なかなか真意が伝わらず、もどかしく思っていたことであった。でも、少しでも多くの人にそういうことを理解してほしいなあと思っていたことに関して、「植栽景観の熟成と時間」という項目で説明されていたので、一部を抜粋したいと思う。

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植物個体と土地の馴染みは、他の土地から根を切断されてもち込まれた植物が、新たな土地に根を下ろし、周辺の環境に馴染んで枝葉を広げ、健全に自立した姿に戻ることである。それに要する期間は、植物の種類や規格、その土地の環境と植物の相性などによっても異なるが、一般に植栽材料として流通している植木や緑化木の場合でも、暖温帯の気象条件のもとでは高木類でほぼ5~7年、中木類で3~4年、低木類で2年程度、草本類でも丸1年は必要である。さらにそれらの植物に風格や重厚感を期待するには、さらに多くの期間が必要になる。
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通常の都心の個人邸では、いわゆる「シンボルツリー」となるような一番大きな木でも、中木クラスのものを使用することが多い。なので、「やはり、3年という期間は間違っていなかったのだ」とホッとすると同時に、このように文章で、世の中に明確に伝えてくれる先輩がいてくれたことに大きな喜びを感じた。

造園に少しでも興味のある方には、是非、読んでいただきたい本です。




造園植栽術造園植栽術
(2012/01)
山本 紀久

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テーマ : ガーデニング
ジャンル : 趣味・実用

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プロフィール

小島 理恵

Author:小島 理恵
GARDENER Q-GARDEN代表取締役
All About 「家庭菜園」ガイド
町田ひろ子インテリアアコーディネーターアカデミー 講師

庭のプランニング・施工・ケアまで一貫して手がけている。四季を通じて植物を楽しむことができるオーガニックな空間づくりが特徴。

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