横浜 M様邸 – 2日目
昨日に引き続き、M様邸の作業。昨日配置しておいたグランドカバー類を植え込んでいくだけなので、普通に行えばすぐに終わってしまう作業だが、せっかくなので、いろいろと説明しながら作業を進める。
ポット苗を植えこむ作業は、はたから見ていると簡単そうに見えるが、「置いてあるその位置に植える」ということだけでも、実は意外に難しい。さらに、高さを揃えて、向きを考えてと、いろいろな要素が加わると、初心者にとってはかなり大変な作業となる。
私自身、この仕事をはじめたころは、たったひとつの寄せ植えをつくるだけでも、思うように手が動かず何度やり直したことか・・・そんなことを思い出しながら、生徒さんたちが植えた植物を手直ししていく。
こんな風に作業をすることをとおして、ひとつの作業にどれくらいの時間がかかるのかとか、このような植物を植えるのに最適な土の感触とか、言葉では説明しきれないことを補ってもらえたらうれしい。
〈水やりもすっかり済んだ現場の様子。来年の今頃が楽しみだ。〉
このあと、たまたま読んだ米原万里さんの本に、こんなことが書かれていた。
「通訳の勉強というのは、基本的にはオン・ザ・ジョブ(仕事の現場)で身につけていくものです。しかも、ある先輩の言葉を借りれば、お師匠さんにバチで叩かれながら習得するのが一番実力がつく勉強の仕方ではないかと思います」
と指摘するように、通訳術とは、一種の職人芸に他ならないのである。理論というのは、理解し納得すれば、それで済むが、職人芸とするには、その理論を血とし肉としなければならない。厳しい訓練が必要になってくる。お師匠さんについて、まず真似ることから始めるしかない。(『不実な美女か貞淑な醜女か』より)
ガーデンの仕事についても、まったく同じことがいえる。今、学校のカリキュラムがはじまって半年余りが経ち、「これから約半年で卒業することになるが、はたして自分は使い物になるのだろうか?」と不安を感じている生徒さんもいるようだ。しかし、この1年間で教わることよりも、仕事をしはじめてから身につくことの方が、ずっと多いのだということを覚えておいてほしいと思う。
私自身、この仕事をはじめて10年以上経つが、これまでに身につけてきたことより、これから学ぶことの方が、ずっと多いのだろうと思って、いつもワクワクしているのだから。