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母島アカギウクレレの話 その2

初めての母島では、衝撃的なことや刺激的なことがたくさんあって、まさに「生き方が変わった」と言っても良い体験だったのですが、そのとき、一番印象に残ったのがアカギの話でした。

アカギという木は、小笠原でサトウキビ栽培が盛んだったころ、生育が旺盛なため、薪として利用するのに良いのではないか?と考えられて南方から導入された樹種です。それが、竹のように生育が旺盛過ぎて、今では、小笠原固有種を駆逐してしまうほどの勢いになってしまっているとのこと。それなら、どんどん使えば良いのだけれど、木材として使用しようとしてもねじれてしまう性質があるし、薪として利用しようとしても、変なニオイがするということで、誰も使いたくないのだと。でも、どうにかならないかな?と、母島に着いた初日に、初対面のKちゃんという人から、「造園の仕事しているんだよね?」と、いきなり相談されたことが、帰ってからもずーっと頭にこびりついていたのでした。

それと同時に、師匠から、「りえちゃんもセイレンでウクレレ作りなよ」と言われ始めていて・・・
「いや、私、まだ、ウクレレ習ってから1年半しか経っていないし、下手だし、楽器だけ良いのを持っていても、格好悪いじゃん」みたいなことを言っていたのですが、「いやいや、良い楽器を持った方が良い。」と。
そんなこと言われたって、ハワイアンコアとかって感じでもないし(別にハワイアンをしたくてウクレレを習い始めたわけではないので。だからといって、母島のタマナではない。これは、エリさんの声に合っていて、私には似合わない。)と、ぼーっと考えていたのですね。

とまあ、日常に戻りつつあった頃、毎年恒例の「ウクレレピクニック」というイベントが横浜の赤レンガで開催されていて、母島で一緒だったセイレン弦楽器工房の高橋さんも出展されるということで、顔を出してみたのでした。そこで出会ったのが、父島のアカギで作られたウクレレでした。「ちょっと試しに弾いてみてもいいよ」といわれてさわってみると、タマナとは全く違う音で・・・なんというか、とまっすぐ前に出るような音で、ソリッドな感じ。
「これは、私に合っているかもしれないなということと、母島で悪者とされているアカギでウクレレを作ることはとても私に似合っているんじゃないかな?」と思い、「アカギでウクレレつくりたいです」といったのでした。

良かった!とりあえず、私に似合うウクレレが見つかったし。と思っていた矢先、またまた師匠が・・・

あるとき、カフェで一緒にお昼を食べていて、「いやー、自分に似合うウクレレがつくってもらえることになって良かった!」的な話をしていたら、「それって、父島のアカギだよね?せっかくなら、母島のアカギで作った方が良くないか?」と・・・
その時点では、母島のアカギという木材は、本土では誰も持っていないはずです。たぶん。もちろんセイレンの高橋さんも。
だって、アカギは利用価値の無い材木と言われているわけですから。
「ってことは、母島に、アカギを採りに行かないといけないということですよね?」と私。
「まあ、そうだよね。でも、その方がいいじゃん。」と、師匠。
まあ、その方が良いと思いますが・・・

ってことで、想定以上に売れたタマナウクレレの材料の追加分も必要になったということで、再び、セイレンの高橋夫妻とともに、タマナの材料を譲ってもらいに行きつつ、アカギの材料ももらえないかということで行ったのが、2017年の6月だったのでした。

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2回目の母島は、知り合いになってくれた人たちが、皆、暖かく迎い入れてくれました。しかし、梅雨の最終週ということもあって、天気は、ずっと雨で・・・

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アカギの林。確かに、この林床は、生物相が貧弱に感じる・・・
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伐採されたアカギ材を見るシンジさん。

とりあえず、アカギの林を見に行ったり、タマナをチェンソーで製材する講習会をしたりしました。
しかし、アカギに関しては、島内でのシロアリ問題があって、簡単に移動することができない。ということが行ってからわかり・・・でも、私の想いを汲み取ってくれた人たちが、記憶を頼りに探し回ってくれて、ようやく、随分昔に製材したアカギを、「これだったら、内地に送ることが出来る」と、探し出してくれたのでした。

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チェンソー製材講習会。(この材はタマナ)
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島の仲間が探し出してくれた内地に送ってもOKなアカギ材。

それを、松本のセイレン弦楽器工房に送ってもらって、待つこと・・・何年だ??
「まだかな~」と、じりじりし始めたころに、ようやく、世界に誇るウクレレビルダーのシンジさんから「材もいい感じになってきたし、そろそと作り始めようかな~と思うんだけど。」と、連絡が来たのが、昨年の12月だったのでした。
それから、いろいろとやり取りして、完成したのが、今年の4月。
ボディは、母島のアカギ。ネックのアクセントに母島のタマナのラインが入っている、それはそれは美しい、母島スペシャルなウクレレ。音は、父島のアカギとまったく違って、強いけど、暖かみのある音でした。

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と、いうわけで、これから、このウクレレを連れて、母島まで行ってきます!

母島アカギウクレレの話 その1

さて、突然ですが、ウクレレの話です。
私が、趣味でウクレレを習っているということは、知っている方は知っているかと思います。

2014年の8月に、ひょんなことがきっかけで、現在のウクレレの師匠Elliさんに出会い、9月から始まったウクレレのレッスンに、試しで参加してみたところ、即ハマってしまい、翌日にはマイウクレレを買いに行っていた・・・ということから始まります。

皆さんもご存知の通り、ウクレレは、ハワイの楽器で、一般的には「ハワイアンコア」というハワイの木材を使用し、ハワイの工房で作られたものが、高級というか・・・多くの方が「欲しいな」と思うものであります。その音色は、どちらかというとカラッとした、ハワイの気候のような(私は行ったことありませんが)そんなイメージの音色であります。

そんなことがようやくわかり始めたあるとき、師匠が「タマーニャ」と名付けた、新しいウクレレをレッスンに持ってきたのですね。その音色は、何ともまあるく暖かく、師匠の歌声にピッタリなもので、最初の音を聞いた瞬間、衝撃的というか・・・「なんじゃこれは!」って思ったのですね。今ほど親しくなかった師匠に、レッスンが終わると同時に、「触っていいですか?これは、なんなんですか?」的なことを聞きながら、「いいよ」って言われる前に触っていたと思います。たぶん。。。

それが、母島に生えているタマナという木から出来たウクレレだったのでした。
でも、その時は、どんな木からできているのかも知らないし、どんな人がつくったのかもわからない・・・でも、とても弾きやすい。そして、「なんて、Elliさんの声にピッタリな楽器なんだ!すげえな。」と思ったのでした。

それからは、相変わらず普段の仕事をこなしつつ、月2回のウクレレレッスンに通うという、フツーの日々を送っていたわけなのですが、
あるとき、突然Elliさんから、「今度、小笠原の母島に行くんだけど、一緒に行かない?4月○日から1週間なんだけど。」っていう連絡が来たんですよね。
「え??」って思いますよね。私は、「すいません。少し考えてから連絡します。」と回答しました。(Elliさんは、「リエちゃんは『行きます』って即答した。」って、よく、知り合いに説明していますが、自分なりに、2時間くらい考えましたよ。)
なんだなんだ??って思うじゃないですか。いきなり小笠原。

私は、生物好きなので、実は、高校生時代に「小笠原に行きたいなー」と思っていたときがあったのです。でも、あまりにも遠くて、あまりにも時間がかかりすぎて、高校生にとってはあまりにも想像がつかなすぎてあきらめていたのでした。そして、社会人になって、色々あって、自分の会社も作ったりして、ホントーにいろんなことがある最中で、そんなことさえも、すっかり忘れてしまっていたのでした。
でも、「え?小笠原??」と思って、webでちらっと調べてみると、「ああ!あの、自分が行ってみたかった小笠原だ!」とわかるわけです。しかし、今度は、その日程の長さがネックになるわけですよね。一応、仕事しているわけだし、未熟な経営者だし・・・「でも、これは、こういうきっかけが無いと、なかなか行けないところだな」と思い、Elliさんに、「行きたいです。でも、私は、2泊くらいして、先に帰ります。」的な返信をしたんですよ。そうしたら、「いや、1回行ったら、次の船の出航は4日後だから。先に帰れないんだよ」って。

「おいおい。日本にそんなところがあったのかよ。」と・・・
それから、また1時間くらい考えて、覚悟を決めて、「行きます。」と答えて行ったのが、2016年の4月のことだったのでありました。

小笠原というと、「父島にいったことあるよ」という方は、私の周りでは結構います。父島までは「おがさわら丸」という船で25時間(現在は、新造船になって1時間短縮されて24時間)。
でも、母島に行ったことあるよという方は、なかなかいません。母島は、父島で「ははじま丸」という船に乗り換えてさらに2時間のところで、東京からほぼ真南に位置しています。

小笠原のことは、戦前は農業が盛んで、もっと沢山の人が住んでいたとか、行ってみると色々なことがたくさんわかるのですが、そのことは、置いておいて・・・

タマナという木は、母島は敷地境界に植えられることが多かった木だそうで、戦前に植えられているので、巨木化しているものがあちこちで見られます。母島の人たちは、夕方、仕事が終わると集う場所がいくつかあって、夕日がきれいな「サンセットシアター」とか、大きなガジュマルの木の下の「ガジュ下」という場所があるのですが、ある場所に生えていたタマナの木の下も、そんな良い感じの場所だったそうなのです。
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皆が集まっていたタマナの木の切り株。これが、タマナウクレレの親となっている木。
あるとき、たまたま旅行で訪れた樹木医さんで、「この木は害虫が入ってしまっているかもしれないから、台風が来たりして倒れたりすると大変なことになる」的なことをおっしゃった方がいたらしいのです。それで、地元の方が「それはタイヘンだ!」ということで伐採したところ、何ともなかった。という・・・(これは、同じ業界で仕事をしていう人間にとっては、「いい加減なこと言うんじゃねーよ!」というちょっとした怒りとともに、とても心が痛むエピソードであります。)

それで、心を痛めた地元の方が、「ウクレレにできないか?」と考えて、その材を、松本のセイレン弦楽器工房に送ったのでした。その話を聞いたElliさんが、「私がそのウクレレを持ちたいな」と思ってオーダーしたという。そして、2016年の4月は、最初のタマナウクレレの里帰りツアーだったのでした。

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タマーニャの里帰りライブ


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美しい自然、堪能しました。


初めての母島では、衝撃的なことや刺激的なことがたくさんあって、まさに「生き方が変わった」と言っても良い体験だったのですが、そのとき、一番印象に残ったのがアカギの話でした。
〈つづく〉
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プロフィール

小島 理恵

Author:小島 理恵
GARDENER Q-GARDEN代表取締役
All About 「家庭菜園」ガイド
町田ひろ子インテリアアコーディネーターアカデミー 講師

庭のプランニング・施工・ケアまで一貫して手がけている。四季を通じて植物を楽しむことができるオーガニックな空間づくりが特徴。

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