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6周年。

かつて、植物学者の田中修さんが、新聞のインタビュー欄でこんなことを話されていました。

「中国では一晩だけの楽しみならお酒を飲んでおいしいものを食べていればいい。10日間楽しみたかったら豚一頭を料理して仲間を集めて一緒に食べていればいい。一生楽しみたかったら庭師になれというそうです。植物の変化に日々発見があって楽しめるというわけです。」

まさにその通りで、庭師という仕事は、たとえ毎日同じ現場に入ったとしても、毎日違う発見があって飽きない。私は、2008年の秋頃に前の会社を独立し、それからしばらくは、ガーデンの手入れの仕事が面白くなってきた時期だったので、「このまま一生、ひとりの庭師としてやっていけたらいいな」と思っていました。

しかし、あることをきっかけに、なんとなくまわりに押し流されるような感じで、会社を設立することになりました。
株式会社○○という名前をつけ、自分が代表取締役になるというところまでは、書類を提出して、所定の費用を支払えば、誰でも簡単にできてしまうことです。しかし、株式会社を設立して、自分に「代表取締役」という肩書がついた途端、「理想的な会社って何だ?」・「どういう社長が良い社長なのか?」と考えはじめることになったんですね。不思議です。

そんなことを考え始めてから今まで、とにかくヒントを得ようと、色々な本を読んできました。

その中でも、設立の頃に読んで、「ウチもこんな会社にしたいな。」と共感したのが、『社員をサーフィンに行かせよう』でした。アウトドアブランドであるパタゴニアの創業者イヴォン・シュイナード氏が書いた本です。会社の運営のこと、広報のこと、人事のこと、直営店の建築のことなど、直接的にヒントになることがいっぱい詰まった会社づくりのスタンダードのような本だと思っています。役に立つことはたくさん書かれているのですが、大事だと思うことを、ひとつだけ。
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創業以来、ずっと企業の責任とは何かという課題と格闘してきた。ビジネスは実のところ誰に対して責任があるのかということに悩み、それが株主でも、顧客でも、あるいは社員でもないという結論にようやく達した。ビジネスは(地球)資源に対して責任がある。自然保護論者のディヴィッド・ブラウアーは『死んだ地球からはビジネスは生まれない』と言った。健康な地球がなければ、株主も、顧客も、社員も存在しない
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訳者あとがきの中で、訳者がイヴォン・シュイナード氏に直接インタビューした際に語られている言葉です。

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さて、造園業・ガーデニング業というものは、いわゆる「労働集約型」の仕事です。さらに、その職人のレベルによって仕事の完成度が変ってしまうということもある世界です。さらに、植木職人が一人前になるには、工場従事者や料理人などよりも、時間が掛かる。なぜなら、仕事の内容が、1年を通じてずっと同じではなく、季節によって違うし、年に1回しか経験できない作業や、時には、数年に1回しか経験できない仕事があったりするためです。

経営やら何やらいろいろなことを知り始めると、とにかく、この業界は「とても効率が悪い」ということがわかってくる。他の業種と同じように利益を出すのは、かなり難しい。では、どう考えれば良いのか?

昨年あたりから、なんとなく、「弊社は、こういう方針で行くんだな」というものは出来つつあったのですが、最終的に背中を押してくれたのが、最近読んだ、『レスポンシブル・カンパニー』でした。これも同じく、イヴォン・シュイナード氏と、ヴィンセント・スタンリー氏の共著となっています。

ここからの引用。
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数年前、ビル・マッキベンが工場式農業と低投入農業で生産性を比較し、おもしろい発見をしている。補助金が出る工場式農業のほうが単位面積あたりの収益性は高いが、低投入農業(有機農業とはかぎらない)のほうが食料の生産量は多いというのだ。工場式農業を使用と思えば、単純化して工業的処理ができるようにしなければならないし、機械化も進めなければならない。つまり、単品をずらっと一平方キロメートルくらい並べて栽培しなければならないし、収穫には高級スポーツカー、フェラーリが買えそうな値段の車が必要だし、燃料も大量に使う。
 これに対し、200メートル四方くらいの小さな農地しか持たない農家は、その土地について隅々まで熟知し、土地の生産性を限界まで引き出す必要がある。別の作物の陰に植えるといい作物があることを知る、根の長さが異なる作物を組み合わせて間作するといいことを知る、ミミズがたくさんいるかどうかを確認するなどのことをしなければならないのだ。一方の農法は土地を疲弊させるが、もう一方は、地力を活用し、自然の一部となる。
 短期的に見ても長期的に見ても、大規模な工場式農業より小規模な低投入農業のほうが事業の健全性が高いと言える。20世紀は合理化を大規模化の時代であり、その時代に育った我々にとって、これは信じがたい結論かもしれない。だが、我々事業者が自分も自然の一部であると考え、現場を歩いて考えなければいけない時代になったのだと思う。資源を使い果たすようなやり方ではなく、もっと生産力を活性化し、集約的なやり方にしなければならない。そのようにやり方を変え、人の住める世界を後生に残さなければならない。
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ここで言われている「低投入農業」を、「オーガニックなガーデニング業」と読み替えてみれば良い。
 従来の価値観で見ると、一見、効率が悪いように見えるが、実は、生産性が高いということ。そのためには、ここに書かれているように、様々な知恵や知識も必要だし、今のままではなく、もっと効率的にコトを進めていかなければいけない。
 
簡単ではないけれども、それが理に適っている。簡単ではないけれど、でも、なんだか出来るんじゃないかなという気がしてきている今日この頃です。





「少女よ、お前の命のために走れ」

これは、2016年6月3日~7月10日にそごう美術館で行われていた「国吉康雄展」の話です。

画家をやっている友人Hちゃんに、「クニヨシっていう画家がいてね、藤田嗣治と同じ時代にアメリカで活躍した人なんだけど。フジタの方が日本では有名だけど、私は、個人的には、このクニヨシっていう人の方がすごいと思っているんだ。」と教えられて、一緒に見に行ったのでした。

この展示会のサブタイトルが、「Little Girl Run For Your Life(少女よ、お前の命のために走れ)」。
会場に入ると、まず、クニヨシのアトリエが再現されたエリアがあり、「ここのエリアだけは撮影OK」ということになっています。

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 最初に目に入る絵がこの、「少女よ、お前の命のために走れ」です。

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そして、少女が現れます。
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わたしが生まれたとき、最初に聞いたのは『走れ』という言葉だった。
〈中略〉
道はわたしの先に続いている。
まっすぐに。
空は暗い。
わたしの後ろに、何かが迫る。
けれどわたしは振り返らない。
わたしは、わたしの命のために、走らなければならないと、国吉が言ったから。
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それで、この少女が、会場を案内してくれるという構成になっていました。

展示を観ていて思ったのは、とにかく見やすい。一見、どこでも見られる展示のように、作品とタイトルがあって、ところどころに解説が入っているのですが、その位置や間隔が絶妙に完璧というか、ものすごくストレートに自分の中に入ってくるんですね。
Hちゃんとも、「この展示、なんだろう?すっごく見やすい。」「こんな感じなかなか無いよね。」などと言いながら見ていました。それで、Hちゃんが、近くにいたスタッフの青年にそのことを伝えたら、「ちょっと待っていてください。」と言われて、この展示のディレクターである才士真司氏と、そごう美術館の学芸員の方を連れてきてくれたのでした。

そこで、才士氏から、今回、この絵をメインのテーマに据えた理由を伺ったり、直接解説をしていただきながら、展示のクライマックスである「クラウン」を観たり、とてもラッキーな時間を過ごせたのでした。

才士氏の話を伺っていてわかったのは、「国吉のことを日本でもっと多くの人に知ってほしい!」という溢れる思いでした。そのためにものすごく準備して、一点一点の展示にものすごく気を使って、少しでも多くの人に理解してもらえるように様々な手段を整えて・・・と、途方もない時間と労力をこの展示のために費やしている。その結果、才士氏の国吉への溢れる思いが、観る人に直接伝わっている。

ああ、うらやましい仕事だな・・・

独立して間もない頃、吉谷桂子さんと一緒に仕事をしながら「理恵ちゃん、仕事って愛なんだよ。」と言われたことがあって、その時はよく理解できていなかったのですが、「最近は、まあわかるようになってきたかな?」と思っていた頃に、「こういうのが愛のある仕事なんだ!」というものに出会った。そんな瞬間でした。

と、同時に、「そうか、自分は、最近、こういう仕事出来ていないな・・・」と、ちょっと泣きたくなる瞬間でもあったのでした。

仕事ってなんなんだろう?
良い仕事ってなんだ?

世の中も、自分自身の仕事の仕方もめまぐるしく変わっている中で、常に頭の片隅にあったテーマではあったのですが、なにかスイッチが入った展覧会でした。

「道はわたしの先に続いている。
まっすぐに。
空は暗い。
わたしの後ろに、何かが迫る。
けれどわたしは振り返らない。
わたしは、わたしの命のために、走らなければならないと、国吉が言ったから。」

これをときどき思い出しながら、
仕事ってなんだ?
って考えながら、これから仕事していくんだろうなと思います。

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開催日の翌日の夕方だったせいか、入場者がまばらだったのも、ラッキーでした。

良い自然素材が適切に使われていると、説明が要らない。

今日は、青海で行われているHOUSE VISIONに行ってから、百年杉の加藤さんに会いに、渋谷のヒカリエへ行ってきました。

HOUSE VISIONというのは、おおざっぱに言ってしまうと、「原寸大に具体化された12の近未来」というテーマで、様々な家が展示されているエキシビション。AR(拡張現実)やVR(バーチャルリアリティー)を駆使したものがあれば、天然素材や、バナキュラーなものにこだわったものもあり、「今は、未来への考え方がすっぱりと二極化しているんだな~」と感じます。

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私は、建築に関しては門外漢なので、個人的な好き嫌いだけで言ってしまいますが、この中で好きだったのは、「吉野杉の家」と「棚田オフィス」。やっぱり、少々不便であっても、素材がむき出しになっていて、自然の風や光を直接感じられる建物の方が気持ち良いなあと・・・iPadを使ったARのプレゼンテーションとか、ゴーグルを着用してのVRとか、なんか、途中で疲れちゃってダメでした。(歳のせいか?)

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「吉野杉の家」
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「棚田オフィス」の2Fからの眺め

次に、ヒカリエ。
ここで行われている「アグリカルチャー物産展」に加藤木材さんが出展されていて、新作の「こぐちキューブ」や「こぐちベッド」が展示されていました。百年杉の香りのパワーを体感してもらうために、50年杉と100年杉のチップの香り比べというのもやっていたりもします。加藤さんに会ったときの第一声。

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「やっぱりさー、もう、世の中にこれだけ木材が少なくなってくると、本能的に求めるようになるんだねー。なんか、みんな、自然に触りに来るもん。植物もそうでしょ?」
「そうですねー。植物も、最近、なんだかこれまで以上に求められているかも。」と応えつつ、先ほど見てきたHOUSE VISIONでは、天然素材の家では、やはり座り込んで長居している人が多かった、などと話をしたりして。

「あとさ、面白いのが50年杉と100年杉の香り比べしてるじゃない?そうすると、100年杉の方の香りを『食べ物の香り』とか『発酵食品の香り』とかいう人がいるんだよ。スゴイと思わない?面白いよね。でも、それって、正解だよね。だって、味噌とか醤油は、みんな樹齢100年以上の木材からつくられた樽で寝かしてつくられるんだから。」
ちょうど、私の隣で香りを嗅いでいた方も、100年ものの方は「甘みがある」って表現していましたね。ちなみに私は、「ウィスキーの香り」って思いましたけど。(笑)

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で、両方行ってみて感じたこと。
良い自然素材が適切に使われていると、説明が要らない。触ったり、そこに居たりするだけで、気持ち良く感じられるから。
ARとかVRは、その良さを理解するためには、説明が必要。でも、その説明が長すぎると疲れてしまう。
ってことかな。

最近、味噌などの発酵食品に注目が集まってきていたり、洋服もオーガニックコットンの方が気持ち良いっていうことがわかってきたりしていることなんかも、なんとなくつながって来ているのかなと思います。人々の意識って、食→衣→住の順番で、住は最後に来るので、もうちょっとでしょうか?庭は住の後だから、さらにその後か・・・
ま、がんばりましょう。

経済のための経済? デザインのためのデザイン?

先日のエアコン売り場の話の続き。

普段私は、植栽という、外から建物に関わる立場で仕事をしているので、室外機の見え方とか、送風口の位置などが非常に気になるわけです。
それで、エアコンの室外機の問題点(室内の数台を、室外機1台にまとめる技術があるのに、なぜそうしないのか?とか、さらに、その一台一台が、デザインが微妙に変わるものが並ぶので気持ち悪いとか、送風口を上向きにすることはできないのか?とか・・・)をいろいろと口にしているくせに、いざ、自分がエアコンを買おうとしたら、そのことがすっかり頭の中から抜け落ちていたことに家に帰ってきてから気がつきました。
家電量販店には、室外機の見本はほとんど置かれていないし、室内機に関するあれだけの過剰な情報を目の当たりにしてしまうと、頭の中が、その情報を咀嚼することに精一杯になってしまって、それ以外の条件ことは、すっかり抜け落ちてしまっていたのです。

そんな頭の悪い自分自身に少々落胆して、そのことについて、このところ時間があると考えていました。

考えてみれば、エアコンというものは、実は、室外機の方が「本体」と言っても良いくらい、室外機の性能の方が重要なはずです。しかし、日本の家電業界では、室内機の部分にセンサーとか、湿度を保持してお肌をしっとり保つ機能とか、自動掃除機能とか、小さな機能を少しずつ加えていくことで、価格を上げていくという戦略をとっています。いわゆる「上位機種」とういのは、それらのオプションがすべて揃ったもののこととなっていて、室外機本体のスペックは変わりません。

これって、他の家電製品や自動車、もっと言うと、大手ディベロッパーが提供するマンションとか、ハウジングメーカーが提案する住宅とか、あらゆるものに同様なことがおこなわれていますよね? それで、これは日本特有な文化なのかな?と思ったりしているときに、以前読んだ、柳宗理さんのインタビューを思い出しました。(特に日本特有の文化ではないみたいですけど、日本から外国を眺めてみると、これほどまではヒドイ現象が起きていないような気がするのは確かです・・・)

西村佳哲さんの『自分の仕事をつくる』という本で、西村さんは、まず、こんなことを書いています。
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私たちは毎日、誰かがデザインしたものに囲まれて暮らしている。別の言い方をすれば、生きてゆくということは、いろんな人の“仕事ぶり“に24時間・365日接しつづけることだとも言える。そして、「こんなもんでいいや」という気持ちで作られたものは、「こんなもんで・・・」とう感覚をジワジワと人々に伝えてしまう。
 そんな貧しい感覚の大量複製に工業化の力が使われるなんて、イームズをはじめとするモダンデザインの先駆者たちが知ったらどう思うだろう。彼らに会わせる顔がないが、私たちは事実としてその貧しさを生きている。モノが沢山あるにもかかわらず、豊かさの実感が希薄な理由の一つはここにあると思う。
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私たちが、無意識のうちに「良いものを選びたい」と思ったり、手に入れようとするものの後ろにある物語を知って嬉しくなったりするということには、そういうものに囲まれた暮らしの方が豊かだという実感があるからなのですね。

そこで、西村氏は、その頃まだご存命だった工業デザイナーの柳宗理さんにインタビューに行きます。柳さんの言葉。

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スケッチなんかあまりしないな。とくにプレゼンテーションのための絵なんていうのは絶対に描いちゃいけないっていう信念があるらね(笑)。そんなインチキはできない。
いまのデザインの考え方は、アメリカの影響だな。つまりコマーシャルデザインだよね。ロサンジェルスにアートセンタースクールっていうのがあるでしょ。僕、戦後に訪問したことがあるんだよ。だけどね、アメリカの自動車のデザインを見て、こりゃひどいことになっているなあって思った。彼らはスタイリングを追及して、机の上でレンダリングばかり描いていた。
でもそんなものからいいデザインなんて、絶対に出てこないからね。それは絵でしかないんだから。まあ素人に見せるにはわかりやすいだろうけど(笑)。でもインチキだと思ったね。
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うーむ・・・ 
「インチキ」か・・・
講師として、プレゼンテーションのためのスキルを教えるという仕事もしていたりする私としては、耳の痛い話ではありますが、でも、確かに、「素人に見せるにはわかりやすい」という面もあり・・・

まあ、私の講師としての仕事の話は置いておいて、西村さんは、柳さんへのインタビューのまとめとして、こんなことを書いています。

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どのような分野にも、技術進化の過程で起こる倒錯現象がある。目的と手段が入れ替わってしまう現象だ。
<中略>
 このような人を見かけると、私たちは苦笑するかもしれない。が、デザインにおいても経済においても、同じことが行われている。企業社会における経済活動の大半は、経済のための経済であり、より多くのお金を引き寄せるために仕事がかさねられる。しかし本来お金は、人間同士が交換している様々な価値の一時的な代替物に過ぎず、それ自体が目的ではなかった。
<中略>
 優れた技術者は、技術そのものではなく、その先にかならず人間あるいは世界の有り様を見据えている。 
 技術の話をしている時にも、必ず単なる技術に終わらない視点が顔をのぞかせる。音楽家でも、医者でも、プログラマーでも、経営者でも同じだ。

柳氏がアートセンタースクールで感じた心地悪さは、デザインが「人を幸せにする」という本来の目的を離れ、デザインのためのデザインという堂々めぐりに陥りはじめている、その無自覚性にあったのだと思う。デザインに限らず、経済のための経済、医療のための医療、消費のための消費など、目的と手段のバランスを失わない唯一の手段は、私たち一人一人が、自分の仕事の目的はそもそもなんだったのかを、日々自問することにある。
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あの、エアコン売り場で感じた居心地の悪さは何だったのだろう?と改めて考えます。
もしかしたら、美しい室内を邪魔しないために、一生懸命に無駄をそぎ落として考えられたデザインのものもあったかもしれません。もしくは、お金を取るために、小さな機能を一つ一つ加えていくことでグレードアップするという戦略を取っているメーカーもあったかもしれません。ただ、商品を売る側が、それぞれのメーカーや作り手の思いを一色単にして、「こうしたら選びやすいでしょう」と提案している方法が、画一的すぎて、それぞれのメーカー(作り手)の思いが無視されていたことが、原因だったのかもしれません。

仕事をたくさんいただいて、忙しくなってくると、どうしても「こんな感じでOKかな?」という感じで、自分の仕事に対する基準が甘くなってしまいがちです。
今回の、家電量販店でのエアコン選びは、正直言ってとても疲れたけれど、「自分の提供する仕事の一つ一つが、そこで暮らす人に対して、影響を与えるのだ」という、当たり前のことを改めて認識する、良いきっかけになりました。



グローブへのこだわり

どんな分野でもそうだと思うのですが、専門職の人は、道具にそれぞれ独自のこだわりがあると思います。私の場合は、ガーデニングの現場で使用するものとして、まずはハサミ。その次くらいに重要なのが、グローブかなと思います。もちろん、腰袋とか、作業着とか、もっと言うと靴下とか、すべてにおいて、快適に作業できるためのものを身に着けたいのですが、その中でも、グローブは、やはり、重要。

 

先日、事務所にある広告代理店の方から電話をいただいて、用件を伺うと、「ショーワグローブさんのサイトのコンテンツを制作しておりまして、そのためのインタビューをお願いできないか?」という内容でした。私は、ショーワグローブの「組立グリップ」を、もう、10年以上前から愛用していて、時々、他のものを試してみたりするのですが、やはり、「組立グリップ」に戻ってしまうというくらいのファンなので、具体的な内容を聞く前に、「やります!やります!」と、勢いよく即答してしまいました。(即答された相手の方は、電話の向こうでのけぞっているくらい驚いているくらいの即答っぷりだったと思います。)

 

昔の植木職人さんは、グローブなんかしていなかったと思うのですが、今は、安全のために、やはりした方が良いと思っています。ガーデニング作業におけるグローブ選びの、私のこだわりは、

 

・手にぴったりフィットするもの

・手先の細かい作業(麻ひもを結ぶ・小さな花がらを摘む等)ができるもの

・土が中に入ってこないもの(特に、爪が汚れやすいので、長時間、土を触っていても、爪が汚れにくいもの)

・洗って何度も使えるもの(弱いものだと、剪定作業をしている最中に、指先に穴が開いてしまったりする ← これは、ハサミで切ってしまうということではなくて、激しく摩擦するせいだと思います)

・夏の炎天下での作業でも、汗で蒸れないもの

・色が作業の邪魔をしないもの(植物の配置や寄せ植えをする際に、手袋の色が目に入ってしまうと、邪魔になるので、濃いブルーや赤などは避けたい)

 

それで、この条件をクリアーしてくれるのが、「組立グリップ」なのでした。これは、ショーワグローブさんの中でもロングセラーの定番商品なのだそうです。

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定番の組立グリップ

先日、一緒に作業しているガーデナー仲間にいろいろと意見を聞いてみたのですが、皆それぞれに、こだわるポイントが違うし、特に、色に関するこだわりは、ある人とない人がいるみたいですね。ちなみに、ガーデンデザイナーの吉谷桂子さんは、「私は黒がいい」っておっしゃっていました。私自身は、白で慣れてしまっているので、黒いグローブで作業をすると、ちょっと違和感があったりするので、「グレーがあると良いですね」っていう話をしたりしていたのですが・・・ 

そうそう、それで、先のショーワグローブさんのコンテンツは、先日アップされまして、こちらで見ることができます。

 代理店の担当の方と、何度かやり取りしている中で、「私、実は、海外で展開されているカラーのバージョンを手に入れたくて、ショーワグローブさんに、直接問い合わせしたこともあるんです」という話をしていたら、インタビューの終わりに、ショーワグローブさんから直接プレゼントをいただき、感激!(日本では、流通していないというのと、海外でも、もう、廃盤になってしまっている古いバージョンだとのこと)

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左の「ATLAS」というタグがついているものが、新しいバージョン。パッケージもきれいです。

それで、早速、アメリカに住んでいる友人に問い合わせてみたら、今のバージョンを送ってくれて、これも感激!こちらの方が、手首のリブの部分が少し長くて、良いんですよね。これ、日本でも発売してもらえないかな?

 


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プロフィール

小島 理恵

Author:小島 理恵
GARDENER Q-GARDEN代表取締役
All About 「家庭菜園」ガイド
町田ひろ子インテリアアコーディネーターアカデミー 講師

庭のプランニング・施工・ケアまで一貫して手がけている。四季を通じて植物を楽しむことができるオーガニックな空間づくりが特徴。

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